ビスマルク! [生き方について]
先日こんな記事を読んだ。
大石哲之氏のブログ記事
「好きで食う」を目指す人が知るべき陥りやすい2つの罠http://nomad-ken.com/4192 (2015.1.19)
厳しいが大事なことだ。好きなことで飯が食えるほど世の中は甘くない。
大石氏は昔からこのことを述べているようだ。たとえば これもそうである。
大学の教員などをしていると、「好きで好きで、3度の飯より好き」というジャンルに浸っている人に良く出会うのだが、それにしてもすごい人がいる。
あれは忘れもしない、2011年4月。前職場で新入教職員の歓迎会の幹事をしていた。100人規模の会なのでそれなりに準備をしたのだが、直前に東日本大震災があって、世間は「自粛」の嵐。ホテルで100人宴会などをやるのは周りの目が怖いとか言うやつも多かったのだが、今年新しく赴任してきた方々を歓迎したい気持ちはある。そこで例年の単なる宴会ではなく、まず前半に少し自己紹介の講演をしてもらって、そのあと会食という形式にした。結局は宴会になるのだが、この前半の講演が面白かった。最高だったのは、みんなに強い印象を与えたのに、ほとんど彼の名前を覚えた出席者がいないという講演者がいたのだ。
とても人懐こく、エネルギッシュな彼だったが、なかなか名前を覚えられなかった。岡山大学大学院教育学研究科講師・飯田洋介氏である。ビスマルクに対する興味と熱い思いは、その短い講演でも出席者につ強い印象を与え、それがあまりにも強かったため、名前よりも「ビスマルク」だったのだ。
その彼が今般、新書を上梓された。
何でも今年がビスマルクの生誕200年だそうで、それに合わせて何かすると意気込んで語っていたことを思い出したのだが、本当に大変なことだ。
私は思っている。
自分にその力がないことを恥じているのだが、まだ30代の彼はものの見事にやってのけた。新書だから一般人が読むものだ。しかし決して手抜きをしない。ともすれば神格化されがちな鉄血宰相について、あくまでも1次史料にあたり、確実に言えることのみをもとにして議論をしている。たとえばプロイセンの外交官として活躍していた時代についての第3章でクリミア戦争へのプロイセンおよびオーストリアの参戦を防いだことについて「ドイツの歴史家E.R.H氏は・・・とこのときのビスマルクを高く持ち上げているが、過大評価は禁物である(p.66)」として、それに続いて情勢分析を冷静に行い、プロイセン国内の内部対立が解消しなかったから参戦できなかったのであり、それをビスマルクの手柄とするべきでないと断じている。こういったところに歴史家としての矜持を見る。
彼は早稲田の出身で、ご家族を東京に残して岡山に単身赴任している。いずれ早稲田に帰ってこられることだろう。岡山大ではよく食堂で一緒になり、話を聞かせてもらったのだが、またそんな機会を楽しみにしているところだ。彼のこれからの更なる活躍に期待する。
そういえば、最近こんな歌を聞いたのでついでに紹介しておこう。飯田氏などはまさにそんな「考える」人だと思う。
ドン・ガバチョ 大学とは https://www.youtube.com/watch?v=r6GCpjOBvCc
(ひょっこりひょうたん島)
今頃になって今年初の投稿である。
大石哲之氏のブログ記事
「好きで食う」を目指す人が知るべき陥りやすい2つの罠http://nomad-ken.com/4192 (2015.1.19)
厳しいが大事なことだ。好きなことで飯が食えるほど世の中は甘くない。
大石氏は昔からこのことを述べているようだ。たとえば これもそうである。
大学の教員などをしていると、「好きで好きで、3度の飯より好き」というジャンルに浸っている人に良く出会うのだが、それにしてもすごい人がいる。
あれは忘れもしない、2011年4月。前職場で新入教職員の歓迎会の幹事をしていた。100人規模の会なのでそれなりに準備をしたのだが、直前に東日本大震災があって、世間は「自粛」の嵐。ホテルで100人宴会などをやるのは周りの目が怖いとか言うやつも多かったのだが、今年新しく赴任してきた方々を歓迎したい気持ちはある。そこで例年の単なる宴会ではなく、まず前半に少し自己紹介の講演をしてもらって、そのあと会食という形式にした。結局は宴会になるのだが、この前半の講演が面白かった。最高だったのは、みんなに強い印象を与えたのに、ほとんど彼の名前を覚えた出席者がいないという講演者がいたのだ。
なんだっけ、あの世界史の若い先生、「ビスマルク」
とても人懐こく、エネルギッシュな彼だったが、なかなか名前を覚えられなかった。岡山大学大学院教育学研究科講師・飯田洋介氏である。ビスマルクに対する興味と熱い思いは、その短い講演でも出席者につ強い印象を与え、それがあまりにも強かったため、名前よりも「ビスマルク」だったのだ。
その彼が今般、新書を上梓された。
何でも今年がビスマルクの生誕200年だそうで、それに合わせて何かすると意気込んで語っていたことを思い出したのだが、本当に大変なことだ。
私は思っている。
大学教授たるもの、新書を読んでちゃだめだ。新書を書かなくちゃ。
自分にその力がないことを恥じているのだが、まだ30代の彼はものの見事にやってのけた。新書だから一般人が読むものだ。しかし決して手抜きをしない。ともすれば神格化されがちな鉄血宰相について、あくまでも1次史料にあたり、確実に言えることのみをもとにして議論をしている。たとえばプロイセンの外交官として活躍していた時代についての第3章でクリミア戦争へのプロイセンおよびオーストリアの参戦を防いだことについて「ドイツの歴史家E.R.H氏は・・・とこのときのビスマルクを高く持ち上げているが、過大評価は禁物である(p.66)」として、それに続いて情勢分析を冷静に行い、プロイセン国内の内部対立が解消しなかったから参戦できなかったのであり、それをビスマルクの手柄とするべきでないと断じている。こういったところに歴史家としての矜持を見る。
彼は早稲田の出身で、ご家族を東京に残して岡山に単身赴任している。いずれ早稲田に帰ってこられることだろう。岡山大ではよく食堂で一緒になり、話を聞かせてもらったのだが、またそんな機会を楽しみにしているところだ。彼のこれからの更なる活躍に期待する。
そういえば、最近こんな歌を聞いたのでついでに紹介しておこう。飯田氏などはまさにそんな「考える」人だと思う。
ドン・ガバチョ 大学とは https://www.youtube.com/watch?v=r6GCpjOBvCc
(ひょっこりひょうたん島)
今頃になって今年初の投稿である。
2015-01-31 12:36
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