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数学?意味わかんない~ [数学的に話す技術・書く技術]

3年半かかった執筆活動が終わって、校正段階では色々苦労したのだけれど、全部終わって、こうやって少しずつネタを小出しにしながら紹介記事を書いている。

そんな中で、結局、世間の人たちにとっての数学は何が問題なのかが改めて見えてくる気がしてきた。それは
そもそも数学は意味が分からない
ということなんだろうと思う。

式が書いてあっても意味がわからない
計算をしろと言われても何をやっているのか意味がわからない
業界用語みたいなのがたくさん出てきてもその意味がわからない

計算をしなくてはならない意味がわからない
証明をしなくてはいけない意味がわからない
数学を勉強しなくてはならない意味がわからない

ずっと前からの自説。
小学校1年から高校3年までの算数・数学。授業をするのが一番簡単なのは、高3の理系進学クラスだ。
世間一般の人は首をかしげるのだが、間違えてはいけない。「問題を解くのが」ではない。「授業をするのが」である。

テキトーなテキストを決め、「解法の要点」みたいなページを指し、さあ問題を解け、黒板に書けと言い、問題集の後ろについている解答と適当に答え合わせをすればとりあえず何とかなるのである。

その点難しいのが小学校。学年が下がれば下がるほど授業は難しい。

中学ぐらいで、また高校ぐらいで、生徒たちの状況を見ずにそういう授業をしているところがあるのではないか。特に1年生の授業が(教師の意図ではないにせよ)そうなっているのではないか。そうして数学嫌いを生み出しているのではないか。

我々の本は、そうやって途中で意味が分からなくなった人に、なんとかその意味を考えてもらおう、コンピュータに仕事をさせられる人になってもらおう、というのがかなり大きなウェイトを占めている。



数学的に話す技術・書く技術: 文系の人も使える!

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  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2021/10/15
  • メディア: 単行本






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確立しない確率 [数学的に話す技術・書く技術]

「確率に関連する研究をしてる」とかいうと必ず返ってくるのが
順列・組み合わせですか?
という話である。

順列・組み合わせと確率というのは本質的には待ったく関係ないと言ったら叱られるかもしれないが、学問的にはかなり遠い話だと言うべきだろうと思っている。

順列ってのは、順番の列。組み合わせというのは組み合わせだが、一つの組の中では順序をつけない。それだけのことである。ここまでの議論の中に確率の話は全く出てこない

にもかかわらず、なぜそんなことになってしまうのか。それは確率の計算をするときに、起きることがらの個数を数えるために、順列・組み合わせの数を数えることが多いからである。

結局ここで問題となるのは
計算結果第一主義
である。中学高校の数学において、確率の計算をさせる問題がたくさん出てくる。凝った問題を作ろうとすればそこに順列・組み合わせの個数を数える必要性が出てくるのである。

そしてそこには、そもそも確率とは?という視点が欠けてしまうことが多い。いや教科書をちゃんと見るとそれなりの説明がなされているのだが、そんなのはすっ飛ばして、解き方は?とやってしまう。そこでおかしな取り違えが起きてしまうのである。

そのためか、例えば「降水確率70%」などという表現も、なんとなく数値が大きいから・小さいからで物事を判断しがちである(まあ大体そんなもので世の中は進んでいけるのだが)。

「確率」と書こうとするとよく「確立」という誤変換が起きる。そのまま出回っている文章も多い。だが文字の話だけではなくて、そもそも「確率の意味が確立しているのか?」と問うてみたい。

その辺も詳しく書かせてもらった。



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微分・積分って暗記もの?! [数学的に話す技術・書く技術]

微分・積分ってなんで暗記物になっちゃうのかね。
ずいぶん考えたんだけどかなり深い理由だと思うのよ。
「計算しない微分・積分」ってなにか。

数学だから何かの計算はするんだけど、定量的な感じで結果を問う話って、難しくなっちゃうんだよね。例えば微分でも、バリバリに場合分けをしてヘンテコなグラフを描けとか。だから公式や解法の暗記になっちゃう。もちろんそういう問題自体の存在意義はわかるんだけど、マニアックすぎて苦行にすぎなくて、暗記でごまかせる問題しか解いてもらえないようになるのではないかと。

で、計算しない微分・積分の話は何か。それは
微分方程式

じゃないかと思ってる。工学部の2年生が微分方程式を学ぶ。しかしそれは微分方程式を解くという科目。かなり計算力がいる。講義を何度もさせてもらって教科書も書いた。得意の「芋づる式」にしたけれど、それでもある程度覚える話になるかな。だからそれは「理系」(あー嫌な言葉!)向けでいいと思う。そんな解法を探るような科目じゃなくて、もっと定性的な感じで使うものが良いのではないか。

でも高校では「解く」ことばかりになってしまう。その大学2年レベルじゃなくてもやはり手間はかかるわけで、計算量が多くて難しい。本当はそうでなくて"定性的"に扱うのが重要じゃないのか?

そんな例を挙げてみた。積分はほとんど扱わないけれど、微分とそれを使った微分方程式による表現、積分して解くわけではなくて、それを定性的に眺めながら状況を知る。

とっつきにくいけれど、計算はかなり簡単だから是非見てもらいたいところ。
扱ったのはロトカ・ヴォルテラの方程式。オオカミとウサギの個体数の変化に関する議論。



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こういうのが書けるようになれればいいな [書評?]

他人にものを説明するというのはなかなか難しいものである。

ちょっと前にtwでひどい記事を見た。それをほぼそのまま書くとこんな感じ。

日本人の平均的な知能指数は105ぐらい。で、知能指数が20違うと会話が成立しない。でも105まで下げるとちょっと頼りないが120だと上げすぎである。社会的成功者は130~135ぐらいの人が多いのは、頑張れば自分より20ぐらい下げることが可能だからちょうどストライクゾーンの115前後に入る。140超えの人はどうやってもそこまで下げられないので一般人とは会話できない。

まあ知能指数だのなんだのってのはたとえ話だと思うのだが、この話で典型的なのは数学教師。自分が数学ができるもんだから、生徒がなぜできないのか理解できない。だから偉そうに見える。だから嫌われる。
坊主憎けりゃ袈裟まで憎い。
だから数学嫌い、となるというのはよく聞く話である。

閑話休題

先般、知人が新しい本を上梓された。ロジカルに話す・書くことについての研修講師として大きく活躍している方である。

いわゆるビジネス書なわけで、アカデミアにいるとあまり関係ないということにもなるかもしれない。

だが、かなり面白い。この本自体は物事を説明するにはどうすべきかということを述べているのだが、この本自体がその見本になっているのだ。そのことは最初に謳ってある。

で、見なくてはいけないのは、話をどこまでかみ砕いて理解するか。それは聞く・読む側の話ではなく、話す・書く側のことである。本当に小さい単位までバラバラにして理解し、それを自分で全部組み立てること。それが必要であるということを身をもって見せている。

上に述べた「知能指数」の話はそれ自体はくだらないけれど、姿勢としてはそれくらいのことが良いのだと思う。学会講演などでも「大学院生が分かるように」と銘打った講演でも、始まって3分で大半の人が落ちこぼれてしまうような講演が大半。それは言い換えれば、他の人の時間を奪ってるわけでひどいわけですよ。

その点この本は丁寧に細かいところまで踏み込んでいる。瞬間風速では難しくてつまらない、説教じみているという感想を持つ人もいるかも知れないが、これを半年に1度ぐらいずつ斜め読みにするのはどうだろう。そういう意味ではかなり使える本だと思う。

自分はここまでかみ砕いて理解し、人に話せているだろうか。


ビジネスに役立つ!文書、プレゼン、話し方を論理的に組み立てる ロジック構築の技術 (スーパー・ラーニング)

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  • 作者: 倉島保美
  • 出版社/メーカー: あさ出版
  • 発売日: 2021/09/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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行列の掛け算とかわかんない [数学的に話す技術・書く技術]

数学の世界にはあちこちに人々を遠ざけるハザードがあるのですが。

例えば行列の掛け算。

勉強した人はほとんどが「わけ分からん」と言うわけです。
同じ形の行列ならば、同じ場所にある数を掛けりゃあいいじゃんか、と。

そうです。まともな発想です。足し算とかはそうなわけで。

でもね。

分数の足し算はどうでしょうか。

このページでは分数は少し書きにくいけれど、
2/3+1/4=3/7
で良いですよね。

ん?間違い?なんで?
2/3+1/4=8/12+3/12 =11/12

が正しいんだとか言われても、ムカつくだけでしょ。

ガッコのおベンキョがよくできて、そういうのに飼い慣らされちゃった人たちは「これが正しいんだ、お前は間違えてる」とか言うけど、なんで正しいの?ちゃんと説明できますか?

普通の発想で言えば上の方が自然じゃないんですか?だって分数の掛け算だったら
2/3×4/5=8/15

なんだし。

で。

分数の足し算については結構多くの人が「正しい解き方」を知っていて「解ける」のかもしれません。なぜあんな不自然な足し算のやり方に我慢ができるのか。それは小学校で「分数の意味」を丁寧にやり、たくさん計算練習をしてなれているからなのです。

2/3 という標記はわかりにくいけれど、分子と分母を上下に書くのは慣れているのかも。そして÷の記号がその形を表しているのだとか、3つに分けたうちのなんとか、とか知ってる人が多い。

行列の足し算は逆に自然。でも行列の掛け算はかなり変。
その意味について、ビジネスにも出てきそうな税金の計算の話を使って解説してみました。


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やっぱコンテクストだわ [英語ねぇ]

今日は同僚の教員の研究に関してインタビュイーを務めた。インタビューを受ける側。

インタビュアーは他学部の先生だけど自分の所属部署の役職者を兼務して下さっている方。公の会議で会うだけでほとんど話したことがなかった。

とっても切れ者の先生であることは聞いていたのだけれど。

その研究自体は、このコロナ禍の前後で大学教育がどう変わるべきかを考えるための調査。

で、その後、少し話をしていたら、その先生の過去のご研究について教えていただくことになった。
16ページほどの英文の論文。

これがまた小気味よい文章。英語を中心とした、応用言語学の先生の文章なので無駄のない簡潔な表現でバシバシ書いてる。

で、もう一つ重要だなと思ったのは、コンテクスト。そんな応用言語学の論文なんて無理じゃんと思うのだが、研究の背景の説明を見ると、半分ぐらいは実感を持って知っている話なので、かなりすらすら読めてしまう。

そうそう。こんなの、日本語で書いてあっても前後の状況が分からなかったらついて行けないわけで。

こういう刺激も良い。


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リボルビング払いのこと [数学的に話す技術・書く技術]

リボルビング払いにしませんか、という広告がかなり目立つ。
リボ払いにしたら何千ポイント≒何千円贈呈!
みたいなキャンペーンが張られていて、お?お得?とか思うかも知れないけれど、そんな大盤振る舞いをしてもトータルでは会社が儲かるからやっているわけで、良く考えなくてはいけない。

とは言っても、なんでそうなるのかピンとこない人が多いだろう。隔月で4万円の買い物をして毎月2万円のリボ払いなら別に良いじゃんという気もするのだが、そう単純ではない。

このことを数学(この場合は数列、漸化式)を使って「表現」し、Excelにでも計算させればその状況がよく分かる。

ただし「だからリボ払いはダメだ」とも書けないわけで、それによって恩恵を被る消費者もいるわけだし、企業からすれば正当な商行為への妨害だということにもなりかねない。

そこで、リボ払いをどう使えばどうなっていくかということについて、1つの例で簡単なExcelシートを作ってみせた。それをどう使うかは読者の皆さんが決めることです。


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行列って行と列 [数学的に話す技術・書く技術]

行列の話はまたかなり問題。

「ラーメン*郎にできる行列」とは全然違って、行&列なのよ。

横に数が並んだのが行。
縦に数が並んだのが列。
縦横長方形に並んだのが行列。

まあ表みたいなもんです。

ある程度勉強した人でも、行列の掛け算が分からん、と言う。

そりゃそうだ。不自然だもん。

つーか。

そもそも数学なんて全部不自然だよ。

例えば赤いバラが3輪と白いユリが2輪と黄色いヒマワリが1輪あったとき全部で6輪とかおかしいじゃん。バラは薔薇。ユリは百合。ヒマワリは向日葵。別のもんじゃん。それを一緒くたにするのはおかしいと思う感性って間違ってないと思う。

だって、飛行機が1機とカラスが2羽とトンボが3匹(3頭かな)、全部で6はおかしいでしょ。

そういう辺りに数学の難しさがあるわけ。

で、行列は表だとして、「表と表の掛け算」って言ったときにそもそもおかしいわけですよ。意味が分からん。

でもね、あんな風にして決めると都合が良いことが結構たくさんある。だからそういうふうに決めたわけ。イヤだと言っても良いのよ、別に。だけどあれはあれで使い出がある。使えるツールだからそう決めておくわけ。

それを説明しようと頑張る人がいるけれど、そもそも不自然なんだから勘弁してねっていうのがもっとも正しい説明。

そんな話もたくさん書きました。




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数列ねぇ [数学的に話す技術・書く技術]

数列って結構簡単なはず。
3,6,12,24,48,***,192,384

なんていう計算を得意な人はたくさんいるのでは。

で、この***のところに何が入るかは結構すぐにわかるのではないでしょうか。
あ、そうか、今頃は麻雀なんかやらないのか。30符1飜だと何点かなんて。

こうやって数が並んでいる話は難しくないと思うのです。

しかし
an=3n+2

なんて書いてあるとびびってしまう人も多いかも、と。

でもこれもなんていうことは無いのです。
a1=3×1+2
a2=3×2+2
a3=3×3+2
a4=3×4+2
a5=3×5+2
a6=3×6+2

別に難しくないでしょ。

なのになんだか身構えちゃう。問題はあれだな。 Σ

これも実は単なる足し算なのに。足し算、簡単でしょ。

でもそうでもないんだよね。何せ厳めしい。何せ記号がよくわかんない。
しかもなんか知らない公式を覚えろとか?

やだよ。

じゃあどうすれば?

決まってるじゃん。そんなのコンピュータを使えばいい。

でも全くのブラックボックスにするのは怖い。電卓押し間違えて、あなたの今月の給料は800万円です、なんて言われてぬか喜びしても、結局返せって言われるだけだし。

その程度のことならともかく、いろいろ困ることがある。

本を見ながら一緒にExcelとか使って見るのも良いかも。


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そもそも数学嫌い [数学的に話す技術・書く技術]

長らく数学屋をやってると「頭良いんですね」などと言われることが多いのだが、医者だって弁護士だって、いやそういう仕事ではなくても、ホワイトカラー系のビジネスマンでも工場で物を作っている人でもみんなそれぞれに「頭が良い」。かなりマニュアル化され単純化されているとは言っても、コンビニの店員だって決して簡単な仕事とは思わない。

ではなぜ数学屋がそう言われるのか。

その裏には「自分が嫌いだから」「自分が苦手だから」というコンプレックスがあるように思える。

確かに数学は難しいと言える。一方で例えば全く数学を学ばずに高校を卒業することはできない(ことになっている)。もっと重要だと思う日本地理を学ばなくても高校は卒業できるのになぜ数学を?

数学教育の問題については言いたいことが山のようにある。それについては取りあえず岡山時代の旧ブログに山のように書いたので、そちらを見てもらうことにしよう。

そこでそもそも考えたい。
37÷5=7あまり2
という式を「分かる」人は多いと思う。そしてこれが「柿がたくさん生ったので近所に配るときには」などという具体例が持てる人も多いだろう(これは小学校教育の勝利である)。

ところが中学以上になると、書いてある式がさっぱり分からない人も多いと思う。当然である。それは意味が分からないのである。数学的な意味を説明することはできても、それが何を指すのかわからないというのは当然のことである。

意味の分からない式を出され、計算をさせられ、○だの×たの言われても不快なだけだ。それで数学が嫌いになるのはむしろ真っ当な感覚だと言える。

数学というのは1つのものの見方である。使いようによっては便利なものである。そんな話を書いてみた。

第2章「ものの見方としての数学」では、数学の話なのになぜか高村光太郎の小説の一節を挙げてある。小説は簡単なのか。数式が難しいのか。必ずしもそうではないだろう。





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