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新・センター試験について [教育について]

なんだかまた大学入試センター試験を「改革」とかなんとか言ってて、がたがた話しが聞こえてきた。

記述式、大学が採点へ センター後継新テスト 国語で検討(2016年8月19日朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/DA3S12518470.html

全く雑な制度の変更だと思う。これらを考えている人たちは頭が悪いとしか言い様がない。

いや、言葉が過ぎた。正確には、大きなビジョンのない継ぎ接ぎだらけの設計変更だということだ。

そもそも現行の大学入試センター試験はどこに問題があるのか。改革をするならばその総括を明らかにし、それを振り回して全体の設計をすべきだ。

言われているのはこういうこと。
一問一答式の試験になってしまい、それに対する対策が単なる暗記の羅列になっている

確かにそれは正しい。しかしそのどこがいけないのか、どう改善すべきなのかという根本のところの議論が一つにまとまっていない。よく聞くのは
教科書レベルの知識を単に知っているというだけではダメだ。

という意見。歴史や国語などでよく聞く話だ。ところがその議論が
暗記で得られる知識は要らない
という話にすり替えられている節がある。もちろん「単純な年号丸暗記」は意味がない。だがそんなセンター試験レベルの知識でもないよりあった方がずいぶん良いのだ。

問題は「それがすべてだ」とする発想。高校などでの受験指導は
まずはセンターで点を取れ、国公立を受けろ
である。そしてそれをメインストリームとして、たくさんの教科を勉強するのをいやがる生徒を「私大型」とかいって隅へ追いやる。

多くの各国公立大学は個別学力試験(2次試験)を行う。ところがどこの大学を見ても「センターがダメならダメ」というシステムなのだ。

ちなみに私の専門である数学におけるセンター試験の悪影響はこんなものではない。

○ 高校の教科書に書かれた範囲で
○ 全国の高校生が受けて
○ 結果が60点平均になるようにしろ

という無理難題を言っている。その結果、大量の問題を課すことになり、それに対する対策は「パターン丸暗記」だ。一応数学・数学教育の専門だろうと思う私でも、時間内に解くことはとても困難だ。

「全国の大学を一律に並べて」という発想は、今の政府の方々が嫌っている「(昔の)日教組」の考え方だ。

こういう中で出てきたセンター試験の「改革」に、「記述式解答」の問題を出すというのが上がっている。そもそもそれを全国一律で採点をするなどというのはほとんど不可能。しかも上の新聞記事で報じられているのは、それを各大学の教員にさせようという話だ。

ひどい話しである。こんなバカな改革をしても、大学が疲弊するだけだ。

文句ばかり言っても仕方がないので、一応私の改革案を述べておく。

1) センター試験の基本設計は現行のままとする。
2) 出題者に対して上記のような結果分布を要求しない。平均点が80点になっても構わないことする。
3) 国公立大学にこの試験を入学者選抜に用いることを義務化しない
3) 各大学は自校の状況に応じて個別学力試験との配点比率を自由に決めて良い。
4) 科目間の成績分布の差については、各大学がそのやり方を自由に設定し、事前に公開する。

タダでさえ大学入試センター試験が大学教員の負担になっているのに、さらに新しい仕事をさせて、それが大学の研究力をどれだけ削ぐのか、しっかり考えてもらいたい。


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