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なぜ分数がわからないのか [数学的に話す技術・書く技術]

「分数ができない大学生」(岡部恒春、戸瀬信之、西村和雄ほか、新版はちくま文庫)は1999年に発表。

その続編?のような
「%がわからない大学生」(芳沢光雄、光文社新書)は2019年に発表である。

なぜこのようなことになったのか。どちらにも書いてある話だが、私の言葉で言うならば
「わかる」と「できる」を混同しているから
である。

長らく言っていることだが、教える側がこれらをきちんと分けて考え、その両方を学ぶ側に提供しなくてはならない。一方だけではダメである。

そしてその中には「教育評価」という概念が重要となる。
「基本問題と銘打ってある問題で満点が取れる」
「基本がわかっている」
の2つの間にかなりの違いがあることを知らなくてはならない。

特に算数・数学が危ないのは、それを数字という妙な記号を操って解答を出して○をもらうことだと思っている人がかなりの数いるからである。

言葉には意味がある。

昔は
読書百遍意自ずから通ず
とよく言ったもので、それはあながち間違いではない。なぜならそこで使っている「言葉」は日常でも使っている「日本語(母語)」の範疇にあるからである。

しかし算数・数学はともすると「学校のお勉強」だけで使う言葉である可能性が高い。
そうするといくら読んでも分からないものはわからないのである。

前掲本で芳沢光雄氏は、それは算数・数学を教える側の責任であると述べていてそれはその通りなのだが、その「教える側」は学校の教師だけなのか?ということは少し考えてもらいたい。


数学的に話す技術・書く技術: 文系の人も使える!

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  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2021/10/15
  • メディア: 単行本



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発売になりました [数学的に話す技術・書く技術]

曽布川拓也・山本直人「数学的に話す技術・書く技術」(東洋経済新報社)

印刷版・Kindle版、ともに本日発売になりました。

たくさんの方から「予約したよ」というお言葉をいただいております。ありがとうございます。

これまで少しずつ内容についてお知らせしております。基本的に
数学は好きじゃないんだが、ある程度知らないと困るんだよね
というビジネスパーソンに向けて書いたつもりですが、考えてみたら
将来企業で働くことになるけれど何のために数学なんか必要なんだろう
と思う若者にも向いた本なのかも知れません。

コアになっている第2部では確かに数式も出てきますし、それを一歩ずつ追って読んでいただきたい気持ちもあるのですが、適当に飛ばしながら読んでいただいても雰囲気は分かっていただけるかと思います。

一方で第1部や第3部では、これ、数学の話か?みたいなところもたくさんあって、かなりユニークな本になっていると思います。

もしお読みいただいたらまた感想などお聞かせ下さると幸いです。
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三品を愛する早大卒業生(校友)諸兄姉へ [数学的に話す技術・書く技術]

どうでもいい話ですが、本部キャンパス西門前の、牛めしとカレーとトンカツを出す某店が好きで、できればあの揚げたてが入ったカツ牛に卵を落としたいわけですが、おじさんには明らかにカロリーオーバーなので、行くのは月に1度と決めております。

ご承知の方も多いかも知れませんが、最近は昼の時間帯しか営業していないため、なかなか訪問できない方もあると思います。

そんな方のために(?)この本を書きました。(←んなアホな)

でも見ていただければ分かりますw


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高校生も読んでくれるかなぁ。 [数学的に話す技術・書く技術]

自分の昔を思うと、中高生の頃に岩波新書とか読んで、ちょいと背伸びして読んで、なんか一丁前に分かった気がしてたなぁと思う。でもそれってかなり大切で、その頃はろくに理解できていなくても、後から知識が増えたり理解力が上がったりして、自分を大きく作っているというのは分かる。

そう思うと拙著、基本的にビジネスパーソン向きにかいた本なんだけど、考えてみたら高校生が読むのに良いかも。数学なんて何のために必要なんだろうと思っている高校生とか。かなりビジネスネタが前に出てきているから、かえって面白いかも知れない。中身はかなりす~がくす~がくしてるけれど、高校2年ぐらいの教科書に書いてある内容も多いし、高校でやらない内容もちゃんと追えばつながるように書いているし。あとは数学の時間にExcelをバシバシ使うなんていうのはやらないかも。

そうか、高校の「文系数学」のテキストに使えるかもなぁ。昔勤めていたさる高等学校とか。

しかしそれにはちと高いか。


数学的に話す技術・書く技術: 文系の人も使える!

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「芸術は感性」だと言い切れるのか? [数学的に話す技術・書く技術]

本の宣伝をしたくて色々ネタを小出しにしているのだけれど。
今回書けなかったことも少し出しちゃおうかな。
しかもスペースの関係とかじゃなくて、自分のレベルが低すぎて読者諸兄姉に失礼だから止めた話を。

まず1つは、セザンヌの絵のこと。
10年ほど前、まだ岡山にいる頃。確か国立近代美術館だと思ったのだけれど、セザンヌ展を見に来た。何でそんなのを見たのか忘れちゃったけど、あの頃、セザンヌの静物画の配置など構造について少し勉強したことがあって。

その論理性みたいなことを盛り込みたかったのだけれど、自分がそれをまともに説明できる範囲になくて。本書ではおまけの色物みたいになっちゃった。

本当はもう一つ。これはもっと大きな話。
音楽と数学は似ている
確かにそう思うのだけれど、そしていくつか論文のようなものもあるのだけれど、そのほとんどすべてがくだらないか頓珍漢。ちなみに自由7科のうちの音楽については議論する気はない。一生を掛けて考えて行く話だと思うのだけれど、全然とっかかりがなくて。

本を書き上げたには違いないんだが、まだまだすべきことはたくさんある。

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パラレルワールド・対数 [数学的に話す技術・書く技術]

対数 Log というのはかなり評判が悪い。

昔、エッセイにも書いておられたし講演でも聴いた話。
あの秋山仁氏は高校のころは劣等生だったという。数学の授業で落ちこぼれて寝ていたら教師に起こされ、何でも良いから質問しろと言われて、そこにある10gって何ですか?と聴いて爆笑を誘ったとか。

まあそれぐらい分からないものなのです。

特にあの記号が良くない。

で、それをどうしたら良いのか。我々の本はビジネスへの応用を題材にしているので違う書き方になっているのですが、言うなればあれはパラレルワールドなのです。

A×B=C  と  a+b=c


当然違う話なのですが、これらは
a=Log A  b=Log B

という関係でつながったパラレルワールドなのです。

パラレルワールドの向こう側に入って見た景色。

実際の世界で見える景色。

その行き来には、よく分からないトンネルを通過する必要がある。

向こう側の世界から景色を見るとわかりやすいかもしれない。

そんな解説をつけてみました。


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数学?意味わかんない~ [数学的に話す技術・書く技術]

3年半かかった執筆活動が終わって、校正段階では色々苦労したのだけれど、全部終わって、こうやって少しずつネタを小出しにしながら紹介記事を書いている。

そんな中で、結局、世間の人たちにとっての数学は何が問題なのかが改めて見えてくる気がしてきた。それは
そもそも数学は意味が分からない
ということなんだろうと思う。

式が書いてあっても意味がわからない
計算をしろと言われても何をやっているのか意味がわからない
業界用語みたいなのがたくさん出てきてもその意味がわからない

計算をしなくてはならない意味がわからない
証明をしなくてはいけない意味がわからない
数学を勉強しなくてはならない意味がわからない

ずっと前からの自説。
小学校1年から高校3年までの算数・数学。授業をするのが一番簡単なのは、高3の理系進学クラスだ。
世間一般の人は首をかしげるのだが、間違えてはいけない。「問題を解くのが」ではない。「授業をするのが」である。

テキトーなテキストを決め、「解法の要点」みたいなページを指し、さあ問題を解け、黒板に書けと言い、問題集の後ろについている解答と適当に答え合わせをすればとりあえず何とかなるのである。

その点難しいのが小学校。学年が下がれば下がるほど授業は難しい。

中学ぐらいで、また高校ぐらいで、生徒たちの状況を見ずにそういう授業をしているところがあるのではないか。特に1年生の授業が(教師の意図ではないにせよ)そうなっているのではないか。そうして数学嫌いを生み出しているのではないか。

我々の本は、そうやって途中で意味が分からなくなった人に、なんとかその意味を考えてもらおう、コンピュータに仕事をさせられる人になってもらおう、というのがかなり大きなウェイトを占めている。



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確立しない確率 [数学的に話す技術・書く技術]

「確率に関連する研究をしてる」とかいうと必ず返ってくるのが
順列・組み合わせですか?
という話である。

順列・組み合わせと確率というのは本質的には待ったく関係ないと言ったら叱られるかもしれないが、学問的にはかなり遠い話だと言うべきだろうと思っている。

順列ってのは、順番の列。組み合わせというのは組み合わせだが、一つの組の中では順序をつけない。それだけのことである。ここまでの議論の中に確率の話は全く出てこない

にもかかわらず、なぜそんなことになってしまうのか。それは確率の計算をするときに、起きることがらの個数を数えるために、順列・組み合わせの数を数えることが多いからである。

結局ここで問題となるのは
計算結果第一主義
である。中学高校の数学において、確率の計算をさせる問題がたくさん出てくる。凝った問題を作ろうとすればそこに順列・組み合わせの個数を数える必要性が出てくるのである。

そしてそこには、そもそも確率とは?という視点が欠けてしまうことが多い。いや教科書をちゃんと見るとそれなりの説明がなされているのだが、そんなのはすっ飛ばして、解き方は?とやってしまう。そこでおかしな取り違えが起きてしまうのである。

そのためか、例えば「降水確率70%」などという表現も、なんとなく数値が大きいから・小さいからで物事を判断しがちである(まあ大体そんなもので世の中は進んでいけるのだが)。

「確率」と書こうとするとよく「確立」という誤変換が起きる。そのまま出回っている文章も多い。だが文字の話だけではなくて、そもそも「確率の意味が確立しているのか?」と問うてみたい。

その辺も詳しく書かせてもらった。



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微分・積分って暗記もの?! [数学的に話す技術・書く技術]

微分・積分ってなんで暗記物になっちゃうのかね。
ずいぶん考えたんだけどかなり深い理由だと思うのよ。
「計算しない微分・積分」ってなにか。

数学だから何かの計算はするんだけど、定量的な感じで結果を問う話って、難しくなっちゃうんだよね。例えば微分でも、バリバリに場合分けをしてヘンテコなグラフを描けとか。だから公式や解法の暗記になっちゃう。もちろんそういう問題自体の存在意義はわかるんだけど、マニアックすぎて苦行にすぎなくて、暗記でごまかせる問題しか解いてもらえないようになるのではないかと。

で、計算しない微分・積分の話は何か。それは
微分方程式

じゃないかと思ってる。工学部の2年生が微分方程式を学ぶ。しかしそれは微分方程式を解くという科目。かなり計算力がいる。講義を何度もさせてもらって教科書も書いた。得意の「芋づる式」にしたけれど、それでもある程度覚える話になるかな。だからそれは「理系」(あー嫌な言葉!)向けでいいと思う。そんな解法を探るような科目じゃなくて、もっと定性的な感じで使うものが良いのではないか。

でも高校では「解く」ことばかりになってしまう。その大学2年レベルじゃなくてもやはり手間はかかるわけで、計算量が多くて難しい。本当はそうでなくて"定性的"に扱うのが重要じゃないのか?

そんな例を挙げてみた。積分はほとんど扱わないけれど、微分とそれを使った微分方程式による表現、積分して解くわけではなくて、それを定性的に眺めながら状況を知る。

とっつきにくいけれど、計算はかなり簡単だから是非見てもらいたいところ。
扱ったのはロトカ・ヴォルテラの方程式。オオカミとウサギの個体数の変化に関する議論。



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行列の掛け算とかわかんない [数学的に話す技術・書く技術]

数学の世界にはあちこちに人々を遠ざけるハザードがあるのですが。

例えば行列の掛け算。

勉強した人はほとんどが「わけ分からん」と言うわけです。
同じ形の行列ならば、同じ場所にある数を掛けりゃあいいじゃんか、と。

そうです。まともな発想です。足し算とかはそうなわけで。

でもね。

分数の足し算はどうでしょうか。

このページでは分数は少し書きにくいけれど、
2/3+1/4=3/7
で良いですよね。

ん?間違い?なんで?
2/3+1/4=8/12+3/12 =11/12

が正しいんだとか言われても、ムカつくだけでしょ。

ガッコのおベンキョがよくできて、そういうのに飼い慣らされちゃった人たちは「これが正しいんだ、お前は間違えてる」とか言うけど、なんで正しいの?ちゃんと説明できますか?

普通の発想で言えば上の方が自然じゃないんですか?だって分数の掛け算だったら
2/3×4/5=8/15

なんだし。

で。

分数の足し算については結構多くの人が「正しい解き方」を知っていて「解ける」のかもしれません。なぜあんな不自然な足し算のやり方に我慢ができるのか。それは小学校で「分数の意味」を丁寧にやり、たくさん計算練習をしてなれているからなのです。

2/3 という標記はわかりにくいけれど、分子と分母を上下に書くのは慣れているのかも。そして÷の記号がその形を表しているのだとか、3つに分けたうちのなんとか、とか知ってる人が多い。

行列の足し算は逆に自然。でも行列の掛け算はかなり変。
その意味について、ビジネスにも出てきそうな税金の計算の話を使って解説してみました。


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