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楽器の音色について [音楽]

トロンボーンという楽器はある方面からは非常に嫌われていることが多い。それは(アマチュア)オーケストラの弦楽器・木管楽器奏者たちからである。曰く、自分たちがいくら一生懸命さらって美しく弾いても、それを野蛮で喧しい演奏でぶち壊してしまう、と。

(アマチュアの)吹奏楽などでは、結構トロンボーンは「聞こえませーん」みたいなことも多いのだけれど、オーケストラでは吹くところが少ないせいか、確かに耳を覆いたくなるような汚い大音量が聞こえてくることも多い。そうなると嫌われるのも頷ける。

自分自身はそういうことに対して非常に憤りを感じている。他の人の演奏をぶち壊してしまうのは、どうしても必要な場合もあるけれど、大抵はそうではない。自分が目指すのは、他の奏者と協働して美しい響きを作り出すことである。もちろんトロンボーンパートであり金管セクション、管セクションとのコラボもそうなのだが、実は一番やりたいのは弦楽器全奏のサウンドに貢献することだ。典型例はシューベルト「未完成」の2楽章や「ザ・グレート」の1楽章の最後などの全奏である。

次の話は芥川也寸志氏が新交響楽団に向かって言った話とされている。

「どんな楽器でもセクション全体がよくなっていて精緻なアンサンブルさえできていれば、どれも同じような音色になる」

少し言い過ぎにも思うが、実際かなりそれに近い演奏もある。自分も周囲のアンサンブルがそうなれるようにやっているつもりである。具体的な話についてはまた語るチャンスもあるだろう。

閑話休題。

歳をとって演奏を続けていると、気を遣って褒めてくれる人も多いのだが、それでもなかなか言われたことがないのが

 おまえの音はきれいだ

という言い方。前述のような固定観念で実際の音を聞いてくれずに攻撃的にものを言う人もたくさんいるところで、つい先般、古巣の楽団に代奏にに出たとき、わざわざ「ソブカワは音がきれいだ」と言ってくれた人がいた。これは長いトロンボーン人生で2回目のことである。そのいずれもが女性ファゴット奏者であるというあたりにも考えるポイントがありそうだが、ともかくやる気が出る話である。
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