買い替え需要とか [社会について]
あまりこのブログには書いていないけれど、私はトロンボーン吹きである。まあそれで飯を食っているわけではないが、「いい趣味ですね~」というレベルにはなくて、人生において重要な部分を占めている。
さて。
世の中が本当に進化しているのかどうか、何年かおきに新しい楽器というのが出てくる。昔はそういうのを追っかけて見ていたこともあったのだけれど、結局のところ楽器を替えても上手くなるわけではないのと、東京から離れていたので、実機にさわるチャンスがないのでつまらなくなってやめてしまった。自分の楽器の更新をやめてからもすでに25年ほどが経つ。その間、マウスピースも、基本的には替えていない。出したい音が決まっているので、そのために最も相応しい=その音を出した人が使っていたもの=を使うことにして、あとは自分自身の研鑽に時間やお金を使う。だから楽譜にはお金をずいぶん掛けた。この前見たRathのコントラバストロンボーン(立派な新車が買える金額!)は買えないが、それに近い金額を譜面購入に充てたと思う。
バストロンボーン吹きとしては話はこれでおしまい。
だがバストロを基本とする自分がテナーも吹こうとするので話は違ってくる。同じような楽器なのだが、実は奏法はずいぶん違うと思う。そんな中でもテナーも吹いてきたので色々と苦労がある。細管はもはや別の世界なのでどうでもいいとして、太管テナーはバストロと近い。そこでマウスピースは長年、バストロ(Schilke#60相当)のリムにBach4Gのカップをねじ込んでもらって吹いてきた。口当たりが同じなのでその点は楽なのだが、なんといってもカップの深さと口径の比率が悪い。練習量で勝負できているときにはそれで良かったのだが、そして最近はまたずいぶん練習をしているのだが、それでもやはりきつすぎる。
そんな中、こんなマウスピースに出会った。
Greg Black Joseph Alessi model 1.5
今はこのブランドは作っていないようである。同等品が Griego 1Fなのだそうだ。
Griegoのサイト: http://www.griegomouthpieces.com/products/alessi_tenor.php
その名を冠しているとおり、NYフィル主席のJoseph Alessi のパーソナルモデルである。
驚くべきはその口径。なんと26.92mm。ほとんどバストロ用。カップも相当に深い。だがそのままバストロにつけてみても、サウンドはテナーのクオリティを持っている。
これが愛器 Bach45B にちょうどマッチする。
2週間ほど借りて吹いてみて、結局譲ってもらうことにした。
そこで思い出したのが「アレッシホーン」と呼ばれる、エドワーズ Edwards / Alessi Model T396-A という楽器のこと。
ひと頃ずいぶん話題になって、誰それが買ったとか何とかいう話を聞いたのだが、その後吹いているという話を聞いたことがない。
そこでアレッシホーンを買った人はどういうマウスピースで吹いているかをネット調べてみたところ、この1.5で吹いている人は一人も見つけられなかった。
楽器がゴツ過ぎるので、マウスピースもそれに合ったものでなくてはならないが、たいていの人は3とか4とか。5という人も見かけた。実際1.5は大きくて大変だろうと思う。私もバストロでもっと大きい口径のものを使ってきたから扱えるのであって。
しかし Alessi 自身は実際、この組み合わせでこんな演奏をする。
https://www.youtube.com/watch?v=Va2emfJW6j4
そういう組み合わせで吹けないのなら、無理をしてそんなものを買うことはない。楽器屋さんは次々と楽器を売りたいのだろうけれど。
結局、なんかそういう流行があっても、「流行り物を買った」満足感だけな気がする。楽器屋でそういう話をするのはある種楽しいが、よく考えたら自分がやりたいのは楽器収集ではなくて音楽を奏でることだ。
ずいぶん専門的な話になってしまったが、結局こういう風にして物を買ってもらわないと景気が良くならないという話らしい。「買い替え需要」という話がよく聞かれるが、無駄なものを買わせなくてはならない状況はローカル最適であっても全体では衰退の方向へ向かっていることに思いを致さなくてはならない。
(Facebookの自筆記事に加筆転載)
さて。
世の中が本当に進化しているのかどうか、何年かおきに新しい楽器というのが出てくる。昔はそういうのを追っかけて見ていたこともあったのだけれど、結局のところ楽器を替えても上手くなるわけではないのと、東京から離れていたので、実機にさわるチャンスがないのでつまらなくなってやめてしまった。自分の楽器の更新をやめてからもすでに25年ほどが経つ。その間、マウスピースも、基本的には替えていない。出したい音が決まっているので、そのために最も相応しい=その音を出した人が使っていたもの=を使うことにして、あとは自分自身の研鑽に時間やお金を使う。だから楽譜にはお金をずいぶん掛けた。この前見たRathのコントラバストロンボーン(立派な新車が買える金額!)は買えないが、それに近い金額を譜面購入に充てたと思う。
バストロンボーン吹きとしては話はこれでおしまい。
だがバストロを基本とする自分がテナーも吹こうとするので話は違ってくる。同じような楽器なのだが、実は奏法はずいぶん違うと思う。そんな中でもテナーも吹いてきたので色々と苦労がある。細管はもはや別の世界なのでどうでもいいとして、太管テナーはバストロと近い。そこでマウスピースは長年、バストロ(Schilke#60相当)のリムにBach4Gのカップをねじ込んでもらって吹いてきた。口当たりが同じなのでその点は楽なのだが、なんといってもカップの深さと口径の比率が悪い。練習量で勝負できているときにはそれで良かったのだが、そして最近はまたずいぶん練習をしているのだが、それでもやはりきつすぎる。
そんな中、こんなマウスピースに出会った。
Greg Black Joseph Alessi model 1.5
今はこのブランドは作っていないようである。同等品が Griego 1Fなのだそうだ。
Griegoのサイト: http://www.griegomouthpieces.com/products/alessi_tenor.php
その名を冠しているとおり、NYフィル主席のJoseph Alessi のパーソナルモデルである。
驚くべきはその口径。なんと26.92mm。ほとんどバストロ用。カップも相当に深い。だがそのままバストロにつけてみても、サウンドはテナーのクオリティを持っている。
これが愛器 Bach45B にちょうどマッチする。
2週間ほど借りて吹いてみて、結局譲ってもらうことにした。
そこで思い出したのが「アレッシホーン」と呼ばれる、エドワーズ Edwards / Alessi Model T396-A という楽器のこと。
ひと頃ずいぶん話題になって、誰それが買ったとか何とかいう話を聞いたのだが、その後吹いているという話を聞いたことがない。
そこでアレッシホーンを買った人はどういうマウスピースで吹いているかをネット調べてみたところ、この1.5で吹いている人は一人も見つけられなかった。
楽器がゴツ過ぎるので、マウスピースもそれに合ったものでなくてはならないが、たいていの人は3とか4とか。5という人も見かけた。実際1.5は大きくて大変だろうと思う。私もバストロでもっと大きい口径のものを使ってきたから扱えるのであって。
しかし Alessi 自身は実際、この組み合わせでこんな演奏をする。
https://www.youtube.com/watch?v=Va2emfJW6j4
そういう組み合わせで吹けないのなら、無理をしてそんなものを買うことはない。楽器屋さんは次々と楽器を売りたいのだろうけれど。
結局、なんかそういう流行があっても、「流行り物を買った」満足感だけな気がする。楽器屋でそういう話をするのはある種楽しいが、よく考えたら自分がやりたいのは楽器収集ではなくて音楽を奏でることだ。
ずいぶん専門的な話になってしまったが、結局こういう風にして物を買ってもらわないと景気が良くならないという話らしい。「買い替え需要」という話がよく聞かれるが、無駄なものを買わせなくてはならない状況はローカル最適であっても全体では衰退の方向へ向かっていることに思いを致さなくてはならない。
(Facebookの自筆記事に加筆転載)
2014-10-20 07:36
nice!(0)
コメント(0)
トラックバック(0)
コメント 0