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教師の役割 [教育について]

もう年末である。

しょっちゅうネタを思いつくのだが、結局のところ何も書いていない。公私ともに忙しいのがその理由である。せめて「私」が暇であるならばその時間を使って書けばいいのだが、なかなかそうもいかない。

同業他社から移ってきて、それと同時にブログも別バージョンにしたのだが、結局過疎過疎のまま年末を迎えている。

各方面に不義理をかさねてもいるのだが、そんな中せめてこれだけは年内に果たしておきたいことを書いておこうと思う。

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暑い夏のことである。直接会ったことはないが、Twitterでずいぶん前からフォローしている若い人から、著書が送られてきた。

普通、そういうのはしっかりこの場で披露し、評を書くのが礼儀だと思う。少なくともこちらからフォローしたぐらいの人なのだし。だがそれが延び延びになっていた。

しかし大問題がある。残念ながらその書名や著者名をはっきり書くことは立場上出来ない。というのは、その方は某大手予備校の人気講師で、その著書は大学受験用の問題集だからだ。確かにもう国立大学の教員ではないとはいえ、私がその宣伝をするわけにはいかない。だから何をどう書こうかと思っている。

だがまあ書けることを書くとしよう。

問題集? と思った方もあるかもしれない。もちろん単に問題を並べた問題集ならば読む価値もないだろうし、そもそもその方も送ってこないだろう。だが、この問題集を見ていて、学校教育というもののあり方について考えてしまったのだ。

よく「学校よりも塾の方が教え方がうまい。だから学校は無駄で塾だけが重要だ」という話を聞く。さまざまな点でそれには反論したいのだがそれはやめて、一つ受け売りの話をしておく。それは「あくまでも学校教育があるから塾の教育は成り立つ」ということである。それは、「学校に行って、教室に入って、自分の席に座って話を聞く」というようなことからして、学校で教わってきているわけであり、その上で塾はおいしいところどりをしているのだという。もし学校がなくなって塾だけだったら、今学校が担っている多くのことを塾が代わりにしだすだろう。「だから学校より塾の方がいい」というのは全くナンセンスであるという。

受験ということをベースに置けば、その対策のためにだけあるのが受験産業なのだから、そこに特化するのは当然である。それに対して学校はそういうだけの目的ではないので、勢い話が薄まってしまう、しかし学校というのは云々・・・というのはよく聞く話だったのだが、果たしてそうなのだろうか。

今回読んだ「問題集」には、各章の末などに筆者の経験談なり勉強に対する取り組み方が書いてある。昔から予備校名物講師というのはそんな奴が多かったようだ。この本にあるそういうコラムページは、どれも若者たちへのメッセージとして意義深いものである。そもそもそういう生き方の人だからこそ私がtwitterでフォローしているわけだし、筆者からの手紙にもその辺りを読んでほしいとあった。

残念ながら公立高校の教師の能力にはバラつきがある。旧ブログに何度か書いたが、「東大合格者ランキング」に上がってくる学校でさえも、なんじゃそりゃ?という指導をする教師がいる。それを見ていると、昔の「悪い予備校」の教え方そのものである。学問というものを軽視した、目先だけの「得点方法」を教える教師が公立学校に多数いる。彼らの身分は守られている。

それに比べると予備校などは内容がよくないとすぐにクビになるので、今残っている講師にはレベルの高い人がたくさんいる。その「レベルが高い」は単に受験テクニックを詰め込むだけでなく、学問の本質に根差したものの見方ができる人というのを含んでいる。というかそれが必須である。実際、大学の教員が入試を作る(のがふつうな)のであるから、それを攻略するにはその方法で行くしかない。

そしてもう一つ恐ろしいことであるが、私が20年以上も昔から言っている「本当に最高の授業というのがあるのならば、それをビデオにとって日本中配信すればいい」というのが予備校業界ではとっくに実現している。その講師には、こういう「まともな」人が多いように思う。

さて困った。日本中の多くの教師たちよ、どうする? そういう授業が日本中に配信されているぞ。 あきらめて部活動の指導に精を出すか? 

それでは困るのだ。目の前にいるひとから教授されることに意味があるのだ。それでは衛星中継で配信される授業とどう張り合うのか?

私は自分なりの答えについてずっと発言してきたし実践もしてきた。今回取り上げている著者もそこを感じて付き合ってくれているのだろうと勝手に思っている。

しかしこのことについて現在の自分が直接できることはあまりない。もう自分は違う世界に移ってしまったのだ。

そんな自身の大転身があったこの1年を振り返りながら、書評の代わりとしたい。

著者の先生、ごめんなさい。
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