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ああ、ついに言っちゃったか [社会について]

お上から、国立大学文系学部を整理せよというようなお達しが来て、特に大学教育関係者の間では議論が沸騰している。対象となっている大学・学部の教員は大変だと思う。京大のように強く切り返せるところはまだしも、そうでない多くの大学は大変なことになっているだろう。

他人事のように言っているが、つい2年前まではそういうところに在籍していたわけで、その辛い立場は大いにわかる。それで色々と駄記事を連ねてきた(これとかこれとかこれとか)のだが、実は一方であちこちで毒も吐いている。
https://twitter.com/sobukawa/status/608062228521226240
http://sobukawa-in-waseda.blog.so-net.ne.jp/2015-06-02

本当はもっとすごい毒をこっそり吐いていたのだが、どこに書いたか見つからない。それを書き直す前に、こんな記事を見てしまった。

和田秀樹 サバイバルのための思考法
「エリートを育成するため大学はどう変わるべきか」2015.06.16
(日経BizCollege)
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/306192/061600010/?P=1

こっそり私が述べていたのは次のようなことである。
国立大学「文系」学部はこれまで学生に対してどんな教育をしてきたのか?

残念だが長いスパンでみて何もしてこなかったというのが正直なところではないだろうか。私の前職は一応「文系」に分類されているが、職業訓練でもあるし、丁寧に力をつけさせたつもりである。だが一般にはどうか。前職において、他の「文系」学部の学生と接する機会もあった。そこそこ受験業界では評価されている(ベネッセで偏差値64とある)のだが、彼ら・彼女らはその地頭レベルから1つも成長しているように見えない。成長したのはバイト先の経験やらサークル活動での何やらによるもののようである。決して大学教育で何かをしてもらったようには見えない。

その大学でも、大学として学生に何かをしなくてはならないということはわかっていて、近年色々なことをしようとしていたのは確か。しかし長い間、大学教員それぞれが学生をきちんと教育してきたかと言えば決してそうとは言えないだろう。実際、入試制度の改革は非常に熱心に議論するくせに、学生教育には及び腰の教員もたくさん見てきた。若い方ではなくて、私よりずっと年上の教員だが。

そのなかで「蟷螂の斧」を振り上げて一生懸命やってきたつもりだ。だがあくまで多勢に無勢。そうこうしているうちに、お上から最後通牒を突きつけられちゃったというのが私の感覚である。

「文系」の学問が必要なのはその通り。そのレベルの維持のためには多数の学生がいた方がいいのも確か。でも学者にならない大半の学生をどう教育したのか、その彼らが世の中に出て役に立つような能力をつけさせてやったのかという点で胸を張れる教員は、少なくとも私より上の世代には少ない。

和田氏のこの記事は、そんな私のイライラ感をズバリ書いてしまっている。巷間で聞こえてくるのは「文系」の学問の有用性やその存続の必要性を高らかに叫ぶ声だ。そんなことは当たり前でわかっていることだ。確かにG型・L型などというどうしようもないアイディアもあったが、あんなのでなくても「世の中で役に立つ能力をつけさせたか」については反省がいる。「そもそも大学というのはそんなことをするところではない」みたいなことを言う「権威」の方々の老害もこうやって明らかになってきているのだ。

大変残念なのだが、時すでに遅しの感がある。自分が当事者でなくなって、しかもこういう話が出てからこんなことをいうと後出しじゃんけんのように言われるかもしれないが、長年やってきたことである。

尊敬できる教育を施している(と信じられる)たくさんの「文系」学部の先生方を存じ上げている。だからこういう悪態をつくのは控えようと思ってきた。私が悪態をついてもそういう先生方に対して失礼なだけだし、何も建設的でないからだ。だから和田氏の論説は私からすると「あ~あ、言っちゃった」という感じである。

少なくとも自分はこの点で直接的な批難を受けないポジションにいる。しかし安住できるという話ではない。自らこの批判を吹き飛ばすように切り込んで行っているのだ。これまでもずっとそうだったし、これからもずっとそれで行く。

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